Q&A
Q.成年後見制度のメリットは何ですか
A.成年後見制度は、認知症などにより判断能力が不十分になった時も、大事な財産やご自身の尊厳が損なわれることなく、安心して生活を続けることができるようにするためにあります。
成年後見人等(後見人、保佐人、補助人、または任意後見人)が、その方に代わって、財産を管理したり、意思を尊重しながら介護や入院などの契約をしたりして、生活を守ります。
判断能力が不十分になると、財産の管理をめぐって、さまざまな争いに巻き込まれてしまう危険性が高まりますし、契約の内容を正しく理解することが難しくなるため、不正や犯罪などのトラブルに巻き込まれてしまうことも考えられるからです。
Q.成年後見制度を利用したいときはどうしたらいいですか
A.成年後見制度には、判断能力が不十分になってしまってから、判断能力の程度に応じた成年後見人等(後見人、保佐人、補助人)を選任する「法定後見」と、判断能力があるうちに、将来判断能力が低下してしまった時に、事務をしてくれる人をあらかじめ定めておく「任意後見」の2種類があります。
いずれも、成年後見人等の事務を開始させるためには、成年後見人等が必要になった方(本人といいます)のお住まいの地域を管轄する家庭裁判所に、申し立てをする必要があります。
誰でも申し立てができるのではなく、申立てができる人(申立人)は、決まっています。
まず、「法定後見」では、本人または配偶者、四親等内の親族等が、後見等開始の審判の申し立てができます。
本人に親族がいない場合などは、市町村長や検察官が申し立てをすることもできます。
また、「任意後見」を利用するときには、あらかじめ、公証人役場で、本人と、任意後見人を引き受けてくれる人との間で、任意後見契約公正証書を作成しておく必要があります。この契約の内容は、事前に登記されます。その後は、任意後見契約が、原則的には、法定後見よりも優先されることとなります。
契約後、本人の判断能力が低下するようになり、任意後見人の事務が必要になったときには、任意後見人を引き受けた人(任意後見受任者といいます)、または本人、配偶者、四親等内の親族等が、本人の住まいの地域を管轄する家庭裁判所に、任意後見監督人選任の審判の申し立てをします。
家庭裁判所が、成年後見人等を選任する審判をし、その審判が確定してから、ようやく本人は成年後見人等の事務を受けることができるになります。
Q.成年後見申立てはどこの家庭裁判所にすればよいですか
A.本人が住んでいる所を管轄している家庭裁判所に申し立てをします。
住まいが、住民票記載の場所と異なる場合は、住んでいる場所での生活が一時的なものかどうかによって、管轄する家庭裁判所が変わります。
詳しくは、最寄りの家庭裁判所に相談してみてください。
Q.姪の私でも、伯父の成年後見の申立てをすることができますか
A.成年後見の申し立ては、本人または配偶者、四親等内の親族等が行うことができます。
四親等内の親族とは、具体的には、下記の方々のことをいいます。
一親等の血族:父母、子供
二親等の血族:祖父母、兄弟姉妹、孫
三親等の血族:曾祖父母、ひ孫、おじおば、甥姪
四親等の血族:高祖父母、玄孫、いとこ、姪孫(甥姪の子)
一親等の姻族:配偶者の父母、子の配偶者
二親等の姻族:配偶者の祖父母・兄弟姉妹、自分の兄弟姉妹・孫の配偶者
三親等の姻族:配偶者の曾祖父母・甥姪、おじおば・甥姪・ひ孫の配偶者
姪は三親等にあたりますので、ご自身が申立人になれます。
Q.申立てに必要な書類や費用はどのようなものですか
A.後見等開始の審判の申立書のほか、本人の戸籍謄本、住民票または戸籍の附票、成年後見人候補者の住民票または戸籍附票、本人の診断書などが必要になります。診断書は、裁判所が定める書式に記入されているものが必要になるので、事前に入手してください。
申立ての際に裁判所に納める費用は、申立手数料として収入印紙800円分、登記手数料として収入印紙2600円分、連絡用の郵便切手、(3〜4000円程度)がかかります。郵便切手代は、家庭裁判所によって金額が異なり、提出する切手の金種が指定されています。
詳しくは、事前に家庭裁判所に確認しましょう。
後見等の審判をするにあたって、本人の状況を確認する必要があるときは、審理中に、精神鑑定を求められることあります。その場合は、鑑定費用がかかることがあります。鑑定費用はおおむね50,000円~100,000円がかかります。
Q.申立てをしてからどのくらいの期間で成年後見人等が決まりますか
A.審理がスムーズに進めば、申立てから2か月程度で審判されます。状況により、数週間以内に審判されるときもあります。
もっとも、申し立てに必要な書類が整っていなかったり、鑑定が必要になったりすれば、当然、審判までの時間がかかってしまいます。
家庭裁判所に、必要事項を確認したうえで申し立てをしましょう。
Q.娘である私は、必ず父の後見人になれますか
A.まず、後見等開始の審判の申立書の候補者欄に、娘さんのお名前、住所を明記することを忘れないようにしてください。
申立書を受理した家庭裁判所は、本人の財産や生活状況、候補者との利害関係などを考慮したうえで、成年後見人等を選任します。そのため、審理の結果、絶対に娘さんが成年後見人等になれるとは言い切れません。
成年後見人等には、親族のほか、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家や、成年後見を行う団体が選任されています。
もっとも、任意後見制度を利用すれば、本人が委任した任意後見人が後見事務を行うとことが原則ですので、未成年者・破産者など一定の不適任事由に該当しない限りは審判で否認されることはありません。
Q.後見人に選ばれた人が気に入らないので、代えてほしいです
A.成年後見制度は、判断能力が不十分になった人が財産や尊厳を侵害されることなく安心して暮らすための制度です。そのため、正当な理由がなく自由に成年後見人等をクビにすることが(解任といいます)できてしまっては、本人の権利が守られなくなってしまう恐れがあります。
そのため、家族が「後見人に選ばれた人が気に入らない」ということだけでは、解任することはできません。
成年後見人等が、不正行為をしたり、成年後見人等としての適格性を著しく欠くときは、四親等内の親族等が家庭裁判所に解任の申し立てをすることができます。
Q.後見開始の審判の申し立てをしましたが、気が変わったので取り下げしたいです
A.すでに申立てをしている場合には、取り下げには、家庭裁判所の許可が必要です。申立人の都合で、すでに判断能力が不十分で保護が必要と診断のある本人の、支援環境をなし崩しにすることは見過ごせないからです。
成年後見人等が選任されている場合には、さらにQ8のように、簡単には変更は認められません。
Q.成年後見人がつきましたが、遺産分割協議も終わったので、終わらせたいです
A.成年後見制度は、判断能力が不十分になった本人の財産を守り生活や療養看護に関する事務を行うことで、本人らしい生活を支援することを目的としています。
そのため、本人が死亡した場合か、本人の判断能力が成年後見制度による保護を必要としない状態に回復した場合を除き、成年後見人等の事務は続きます。
ですから、遺産分割協議が終わったという理由では、成年後見をやめることはできません。
なお、正当な理由がある場合や、成年後見人等が不正行為を行った場合には、成年後見人等が辞任または解任されることはありますが、成年後見制度の利用自体は終了せず、家庭裁判所が、新たな成年後見人等を選任することになります。
Q.成年後見人等はどのような仕事をしてくれますか
A.成年後見人等は、本人の預貯金の管理、収入支出の管理、税務処理等の包括的な財産管理や、療養看護および生活全般にかかわる事務を行います。
本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しながら必要な支援を行いますが(法律行為といいます)、成年後見人等が直接的に家事や介護をすることは(事実行為といいます)、成年後見人等の仕事に含まれません。
Q.成年後見人等には「財産管理」と「身上監護」の二つの仕事があるそうですが、そもそも「身上監護」とは何ですか
A.「身上監護」とは、本人の生活や療養看護、介護等にかかわる法律行為を行うことを言います。
契約を取り交わすだけではなく、本人の医療費や福祉サービス利用料の支払い、要介護度の認定請求なども含まれますが、法律行為に関するものに限られるため、介護等の事実行為や、本人の身体に対する強制行為(入院や手術の強制など)は事務の範囲に含まれません。
Q.成年後見人等の任期はいつまでですか
A.成年後見人等の仕事は、本人が死亡した場合か、本人の判断能力が、成年後見制度による支援を必要としない状態に回復した時まで続きます。
なお、正当な理由がある場合は、成年後見人等が辞任することや、解任することができますが、本人の成年後見制度を利用すること自体は終了せず、新たな成年後見人等が選任されます。いずれの場合も家庭裁判所に申し立てをして、許可を得る必要があります。
Q.任意後見契約とはどのようなものですか
A.本人が、将来、判断能力が不十分になった時に備え、あらかじめ、任意成年後見人受任者に、日常生活や療養看護、財産管理に関する事務について代理権を付与する契約のことをいいます。法定後見制度に定める同意権や取消権の付与はありませんが、任意後見人が代理権に基づいた事務を行うことで、本人の権利を守ることになります。
なお、任意後見人の事務が始まる前に、本人か任意後見受任者のどちらかが亡くなった場合は、任意後見契約は終了します。
また、任意後見契約を締結しても、本人に判断能力が不十分になり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任する審判をするまでは、契約の効力は生じません。
Q.任意後見契約は口約束でもできますか
A.任意後見契約は、本人の判断能力が不十分な状況になった時に効力が生じます。
口約束だけでは、まったく関係のない人が「自分が任意後見人だ」と言ってきても、それが本当なのか嘘なのかを証明することができません。
そのため、任意成年後見制度を利用するには、必ず公正証書による契約が必要になります
Q.任意後見の契約をすれば、すぐに任意後見人の仕事をしてもらえますか
A.任意後見人の効力は、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所の任意後見監督人選任の申立ての審判が確定してから生じます。
そのため、契約後すぐに任意後見人の仕事をしてもらえるとは限りません。
もしも、本人の判断能力があるときから、第三者に財産管理を頼みたいときは、任意後見契約とは別に、財産管理委任契約を締結する必要があります。
Q.伯母に成年後見人がついているようなのですが、誰だかわかりません。調べられますか
A.裁判所から成年後見人等が選任されたり、任意後見契約公正証書が作成されたりした時には、法務局に成年後見等の登記がされます。本人の住所氏名、成年後見人等の住所氏名などの登記内容は、法務局で成年後見等の登記事項証明書を請求することで確認できます。
登記事項証明書の請求は、プライバシー保護の観点から、本人、本人の配偶者、本人の成年後見人等、四親等内の親族など、限られた人しかできません。
ご質問者は、伯母と姪との関係で、四親等内の親族関係に当たりますので、四親等である関係性が証明できる戸籍謄本などを添付したうえで、登記事項証明書の申請ができます。
登記事項証明書は、全国の法務局・地方法務局の本局戸籍課の窓口(東京法務局では後見登録課)等で入手できます。郵送請求の場合は、東京法務局後見登録課でのみ受付しています。
申請書は法務省・法務局のホームページからダウンロードすることができます。
Q.任意後見人は成年後見人と同じ仕事をしますか
A.任意後見人は、任意後見契約書の代理権目録に記載されている、あらかじめ本人と話し合って決めた範囲内での財産管理や療養看護に関する事務のみを行います。
そのため、任意後見人は、法定後見人に準じた仕事を行ないますが、その範囲は、任意後見契約で定めた範囲内に限られ、同意権や取消権も付与されません。
ただし、任意後見人は、法定後見制度が必要になった場合には、家庭裁判所に後見開始等の審判の申し立てを行う権利を有しているため、状況に応じて法定後見制度に切り替えることもできます。
Q.成年後見人への報酬がかかると聞きましたが、いくらくらいになりますか
A.成年後見人等の審判の申立てにも費用がかかりますが、本人の親族ではない第三者(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が成年後見人等として選任された場合には、その事務に対して、本人の財産から報酬を支払うことになります。
報酬額は、成年後見人等が1年間仕事をした後に、家庭裁判所に報酬付与の申立てをすることにより、決定します。具体的な報酬額は、本人の資産額などに応じて、家庭裁判所が相当な額を決定するので、一律に金額が決まっているわけではありません。
なお、本人にまったく財産がないような時には、成年後見人等の報酬はゼロということもあります。報酬が出ないからという理由では、成年後見人等は、辞任することはできません。
なお、任意後見人の報酬額は、事前に本人と任意後見人との話し合いによって決定し、任意後見契約書に記載されています。
任意後見制度を利用する場合には、任意後見監督人が選任されますが、任意後見監督人の報酬額は、法定後見制度と同様に、本人の財産や業務内容等をもとにして、家庭裁判所が相当額を決定します。
Q.財産が全然ないと、成年後見人はつけられませんか
A.成年後見制度は、財産のある方だけのための制度ではなく、財産がなくても利用することができます。
Q.父を老人ホームに入れるため、父所有の不動産を売ろうとしたら、成年後見人を立ててくださいと言われました
A.たとえ親族であっても、本人の財産を、勝手に処分することはできません。
成年後見制度を利用することで、成年後見人等が家庭裁判所の指導・監督を受けながら、本人の財産を処分することも可能になります。
Q.父を老人ホームに入れたいのですが、大きな財産は自宅しかありません。成年後見人制度を利用した場合、父の自宅を売却してくれますか
A.成年後見人は、老人ホーム入所費用を確保する場合など、本人のために必要な範囲で、本人に代わって財産を処分することができます。
しかし、居住用の不動産を売却してしまうと、老人ホームを退所したときなどに、本人の戻る場所がなくなってしまう恐れがあります。
このような危険性を回避するために、成年後見人等が本人の居住用住宅を売却する際には、家庭裁判所から許可を得なくてならないこととなっています。
もっとも、任意後見人の場合は、任意後見契約で定めた代理権の範囲に、その不動産の管理も含まれているときに限ります。
Q.自宅は父と母の共有名義になっています。父には成年後見人がついています。自宅を売却したいのですが、できますか
A.成年後見人が本人の自宅を売却するには、家庭裁判所の許可が必要になります。
これに加え、共有名義である自宅を処分するには、他の共有者の同意が必要です。
お母様が売却処分を同意しているのであれば、成年後見人が、本人に代わって自宅を売却することは可能です。
Q.将来の遺産分割に備え、不動価格が高い今のうちに、父所有の不動産を売却しておいてほしいのですが、父の成年後見人に頼めますか。
A.本人が所有する不動産の処分等の財産管理は、成年後見人の仕事に含まれますが、本人にとって必要かどうかを適切に判断する必要があります。
必要性がない場合は、家族が希望しても、むやみに本人の財産を処分することはできません。
Q.アパートのオーナーである父が成年後見制度を利用することになった場合、アパートの管理は誰がやってくれますか
A.成年後見人等は、本人の有する財産を包括的に管理します。
現金、証券、預貯金等のほか、アパート等の賃料を取得したり、アパートを修繕して維持管理したりすることも、成年後見人等が行う仕事に含まれます。
もっとも、任意後見人の場合は、任意後見契約で定めた代理権の範囲に、その不動産の管理も含まれているときに限ります。
Q.父は山林を所有しています。父には成年後見人がついていますが、成年後見人は山林も管理してくれますか
A.成年後見人等は、本人の所有する財産を包括的に管理しますので、所有している山林の管理に関する事務も担います。
Q.父名義の空き家があります。成年後見人が管理してくれますか
A.成年後見人等は、本人の財産を包括的に管理するため、所有する空き家の管理も行います。
ただし、任意後見人の場合は、任意後見契約で定めた代理権の範囲に、その不動産の管理も含まれているときに限ります。
Q.父の介護をするため、父名義の家を改築したいのですが、成年後見人は、父の財産から費用を出してくれますか
A.成年後見人には、本人の財産管理に関する包括的な代理権が与えられていますので、本人の介護に必要であれば、スロープや手すりの設置などの自宅改修工事費用は、本人の財産から支出することができます。
Q.不動産オーナーの父に成年後見人がつきました。これからは、不動産所得の確定申告書は誰が出してくれますか
A.成年後見人の重要な仕事のひとつは、財産管理です。
財産管理には、本人の預貯金の管理や収入・支出の管理のほか税務処理も含まれます。
本人に、不動産所得や不動産譲渡所得等があるときは、成年後見人が、本人に代わって確定申告や納税等を行います。
Q.親族で遺産分割協議を行うことになりましたが、そのうちの一人が認知症で名前も言えません。内々で進めてしまってもよいですか
A.本人の利益を保護することを目的として、意思能力を欠いた人を除外したり、無視したりして、勝手に遺産分割協議を行うことは認められていません。
認知症等によって判断能力が不十分な相続人がいるときは、成年後見制度を利用し、成年後見人等とともに遺産分割協議を行います。
Q.外国人も、成年後見制度は利用できますか
A.日本に住所もしくは居所を有する外国人は、原則として成年後見制度を利用することができます。本国法の制約を受けますが、日本の裁判所が日本の法律に基づいて後見等開始の審判を行います。
Q.高齢で手が震え、文字を書くのが大変です。成年後見制度を利用できますか
A.成年後見制度は、判断能力が不十分な方を支援する仕組みです。年齢による衰えや、身体的につらい状況があったとしても、判断能力がある方は利用できません。
このような場合は、本人の信頼できる人と、私的な委任契約を締結して行う任意の財産管理を利用することができます。
Q.成年後見の申立ての書類の書き方などはどこで相談できますか。また、専門家に書類を頼むこともできますか
A.必要書類や申立書類の記載事項については、申立てをする家庭裁判所に相談しましょう。
自分で申立書を作成するのが負担に感じるときは、専門家に頼むことも一つの方法です。
弁護士であれば、申立書の作成に加え、申立ての代理人を依頼することができます。司法書士には、申立書の作成を依頼できます。依頼する際の費用は、事務所によっても異なるので、法テラスや、最寄りの弁護士会、司法書士会に相談してみましょう。
Q.成年後見について相談できるところはありますか
A.成年後見制度について相談したいことがあるときは、お住まいの市町村に設置された成年後見センターや社会福祉協議会、地域包括支援センターで無料相談が受けられます。
法テラスでも相談を受け付けていますし、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会、行政書士会など、多くの専門家の団体が相談窓口を開設しています
Q.家を購入したいので、成年後見人がついている父親から資金を借りたいのですが
A.お金を貸す行為は、成年後見人が行う財産管理の範疇を超えており、制度の趣旨からすると相当ではありません。
特別な事情があったとしても、この件は、成年後見人だけでは判断することはできません。成年後見人は、家庭裁判所に相談し、許可を得てから、対応することとなります。
Q.認知症の親の入院費が払えず困っています。親名義の家を売ってお金にしたいのですが
A.たとえ家族であったとしても、本人の資産は、勝手に売却することができないため、成年後見制度を利用する必要があります。選任された成年後見人等が、不動産を含む財産の処分を行い、入院費等の支払いに充てることになります。なお、居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。
Q.成年後見の制度を利用したいのですが、親の財産がどこにあるかわかりません
A.財産の所在が不明でも、成年後見の制度を利用することは可能です。
成年後見人等が、本人の財産調査をすることも、財産管理の仕事のひとつです。
成年後見人等が選任された後、原則として1か月以内に調査を行い、家庭裁判所に報告をすることとなっています。
Q.自宅以外に昔事業をしていた工場があります。誰も使っていないので成年後見人に売ってもらうことはできますか
A.成年後見人は本人の財産管理に対する包括的な代理権を有しているので、本人に代わって工場を売却処分することも可能であるといえます。
なお、成年後見人は、本人の意思を尊重し、生活や心身の状態等に配慮する義務を負っているため、財産の処分等を行う場合も、本人にとって必要かどうかを適切に判断しなければなりません。そのため、「誰も使っていない」という理由だけでは、売却処分をすることはできません。
Q.近所に、ゴミ屋敷の人がいます。その人には、頼れる親族が誰もいないそうです。重い認知症のようなのですが、成年後見人はつけられますか
A.親族がいない本人の場合は、市区町村長が後見等開始の申し立てをすることができます。
詳しくは、最寄りの地域包括支援センターに相談をしてみてください。
Q.成年後見人がついた人の家の植木が道路にはみ出て困っています
A.本人が所有する不動産等の管理も、成年後見人の仕事に含まれます。
植木や雑草の処理等も、財産管理の一部ですので、成年後見人が行う義務があります。
もっとも、草むしりを行うなどの直接的な行為は、成年後見人の仕事の範囲には含まれないので、植木屋に依頼するなど、必要な手続きを行うこととなります。